離婚に際して、夫婦間に子供がいる場合、子供の親権をめぐって争いになることは多々あります。
子供の親権者をどちらにするかという点について、夫婦間で話し合いが付けば良いのですが、夫婦間で話し合いが付かない場合は、まずは調停で、最終的には訴訟(裁判)手続きにおいて、家庭裁判所調査官による調査を経て、裁判所が親権者を指定することになります。
では、裁判所が親権者を指定する際どのような視点で判断を行うのでしょうか。
裁判所は、どちらの親のもとで子供を育てることが「子の福祉」に沿うかという観点から判断します。つまり親の利益ではなく、専ら子供の利益の観点から判断されます。
そして、「子の福祉」の観点という判断基準の具体的な要素としては主に以下の点が考慮されます。
●監護の継続性(現状尊重)の観点
現に子供を監護している(育てている)親を親権者として優先するという原則です。
●母性優先の観点
特に子供が幼い場合に重視される視点で、子供が幼い場合は特に母親が優先される傾向にあります。
●子の意思の尊重
15歳以上の子供については、必ず親権者をどちらにするのかについて子の意思の確認がなされますので、子の意思も尊重されます。
また、子供が15歳未満でも、10歳前後に達していれば、原則として子の意思の確認もなされますので、子の意思も尊重されることとなります。
●兄弟姉妹不分離の原則
できるだけ兄弟姉妹の親権は分離すべきでない(別々にするべきではない)という傾向です。
●監護開始時の態様など
夫婦間で一旦取り決めを行ったにもかかわらず、夫婦の一方が子供を不法に奪い去ったり、家庭裁判所からの子供の引渡し命令を無視するなどした場合には、そのような親の親権者としての適格性が否定されやすい傾向にあります。
●面接交渉の許容性
仮に自分が親権者となった場合に、親権者となれなかった他方の親が子供と面接交渉を行うことについて寛容であるということが、親権者として適任であると判断する一材料となります。 |